イシュラン立ち上げの経緯

サービスを立ち上げた思い

今やがんは日本人の2人に1人が罹患する「国民病」です。
でも、多くの患者さんとって、がんであるという事実はある日突然突きつけられます。

まず最初に考えるのは、どこの病院、そしてどの医師で治療を受けるかということでしょう。

日本は海外と違って、入っている保険によって治療を受けられる病院が規定されてしまう、などということはありません。
特に、比較的患者さんの多いがんであれば、大抵の病院で診療しています。

でも逆に選択肢があるが故に、いざ病院や医師を決めるとなると、なかなか難しい。
特にウェブ上だと、

問題点1:目立つ情報はエビデンスの伴わない治療法の宣伝がほとんど
問題点2:「正しい」情報は複雑でわかりにくいし歯切れも悪い
問題点3:病院の情報はそれなりにあるが医師単位の情報は少ない
問題点4:情報はあったとしても、どう選んでいったら良いのかという考え方まで踏み込んでいない

といった問題があります。

「イシュラン」はそんな問題を解決するために立ち上げました。

・エビデンスに基づいた治療を行なう病院の情報に絞って、怪しげな治療法の広告宣伝を一切排除する
・一部の「がん」に特化した客観的情報を病院、医師別に見やすく出す
・医師の特徴を掴めるような”柔らかな”情報も加える
・単なるデータの羅列だけでなく、どう見たら良いかという「視点」を提供する

というのが、従来の病医院サイトにない特徴です。

このサイトが、がんに罹った患者さんやご家族にとって、少しでもお役にたちますように。

イシュラン活動のきっかけ

イシュランチーム写真

(2016年08月撮影)

「イシュラン」代表の鈴木英介(株式会社メディカル・インサイト 代表取締役)です。

「がん」のような人生を左右するような重大な疾患にかかった場合、まず最初に本人や周囲が考えるのが、どこの病院、そしてどの医師で治療を受けるかということでしょう。

しかし、いざ病院や医師を決めるとなると、どのように考えたら良いのか確信を持てない方が多いのが実情です。
病院・医師ガイド「イシュラン」は、そうした有事の際の「羅針盤」のような存在をつくるべく、開発をスタートしました。




病院選びの相談を度々受けたことがきっかけでした

「精密検査をした病院で、『あなたのようなケースだとうちの病院では面倒見切れない』と言われ、途方に暮れてしまった。」

「母にどこで手術を受けてもらおうか色々調べてみたけれど、一見良さそうに見えるウェブサイトでも、怪しげな治療法の商売に誘導されていく気がして、何を信じたら良いのかわからなくなってしまった。」

いずれも、一般的な情報リテラシーはかなり高いと思われる友人が上げた声です。このような病院選びの相談を、ご家族やご自身ががんに罹った友人から度々受けたことが、イシュランを立ち上げるきっかけとなりました。




医療の知識を活かし、信頼できる病院・医師情報を発信したい


確かにウェブ上でいざ調べようと思うと、必要な情報は色々なサイトに点在していてわかりにくいし、検索してぱっと出てくる情報は怪しげな治療の宣伝媒体になっていることがしばしばです。

・目立つ情報は科学的なエビデンスの伴わない治療法の宣伝がほとんど
・「正しい」情報は複雑でわかりにくいし歯切れも悪い
・病院の情報はそれなりにあるが医師単位の情報は少ない
・情報はあったとしても、どう選んでいったら良いのかという考え方まで踏み込んでいない

等々、信頼がおけてかつわかり易い情報がなかなかないのです。

医療の世界で事業を営む私が見れば、必要な情報がどこにありどう組み合わせて考えれば良いかすぐわかるし、信頼できない情報は怪しいとすぐ認識できますが、一般の方はそうはいきません。

私の持つ知識や経験を可視化することによってこうした問題を解決し、信頼のおける病院・医師情報を誰もが手軽に参照できるようにしたいと強く思いました。

実際、患者さんにアンケートをとってみて、次のような声が寄せられています。

わたしたちは、こうした患者さんたちの力になるべく、まずは乳がん版「イシュラン」を作ることにしたのです。

「精神的な辛さを感じているときに、病院や医師の選択をしなければならないのは辛かったです。」 「どこでどんな治療がうけられるのかがわかる一覧資料のようなものがあればよかった。」 「病院選びも重要ですが、医師との相性も重要です!」 「手術をした病院には専門医がおらず、乳がんについての専門知識が足りないと感じました。」

乳がん患者会リーダーが「今一番必要な情報」と認めるアイディア

このアイディアを、乳がん体験者の経験談を数多く知る患者会リーダーの方々にぶつけてみたところ、彼女たちからも「病院選びや医師選びは、患者さんが最初につまずくところ。今一番必要な情報だから、是非実現して欲しい」と強く後押しして頂き、意義に共感してくれたソニックガーデンのメンバーと一緒にサイトを立ち上げることにしたのです。

キャンサー・ソリューションズ(CANSOL)の桜井なおみさん、愛媛がんサポートおれんじの会の松本陽子さんなど、多くの患者リーダーの方々の、暖かい励ましと助言があって開始したプロジェクトです。

桜井なおみさん写真

キャンサー・ソリューションズ代表 桜井なおみさん

丁寧なプロセスを経て、医師との信頼関係を結びながらサイトを作成

イシュランは、病院や医師選びに必要な情報を、複数のデータソースからマッシュアップしています。また、選択の際の考え方や、医師ごとの顔の見える情報まで踏み込んだ、画期的なサイトです。

医師の先生方お一人お一人とお手紙をやり取りして当サイトの意義を説明し、写真の掲載許諾を頂いたり患者さんへのひとことなどを頂いたりと、丁寧なプロセスを踏んだ上でコンテンツを作成しています。(※一般的にはネット上に公開されている写真のリンク使用に問題はありませんが、2021年現在は写真の使用について念のため各医師ごとではなく、各病院の事務局宛にお手紙を送付し、掲載不可/差替えの確認をさせていただいています)

お手紙の写真


まずは「乳がん 愛媛版」を作ってみました


乳がんの病院・医師ガイドを作るとはいっても、一度にすべてをリスト化するのには、膨大な時間と労力がかかります。

そこで、自分たちのアイディアをまずは形にするべく、手頃なサイズでかつ患者さんからのフィードバックを頂き易かった愛媛版を試験的に作ってみました。
イシュラン乳がん「愛媛県」

実際の作成にあたっては、各病院で乳がんを診療していそうな医師を各学会のHPや各施設のHPの内容を突き合わせながら抽出した上で、医師お一人お一人に写真の掲載の許諾を頂きながら進めたのですが、お叱りを頂いたり掲載自体をお断りされる医師もいらっしゃれば、非常にご丁寧なメッセージを頂いた医師もいらっしゃるなど、当初想定していなかった苦労もありました。

ともあれ、ひとまず愛媛版を完成させたことにより、次のようなイシュランの特徴を「目で見て触って」理解して頂けるようになりました。

・乳がんに特化した客観的情報が病院単位・医師単位で見やすく整理されている
・単なるデータの羅列だけでなく、どう考えたら良いかという「視点」がわかる
・医師のコミュニケーション・タイプのような”柔らかな”情報も知ることができる
・科学的エビデンスの伴わない治療法の広告宣伝を一切見なくてすむ

その後、いただいたご意見などを元に改善しつつ、乳がん版を全国へ広げていきました。

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